メール / メッセンジャー

Android版 Proton Mailの設定と使い方

この記事は https://eizone.info/ から移行・再編集したものです。

Proton Mailは、プライバシー保護とセキュアな通信の実現を最優先に設計されたEメールサービスで、運営拠点やメールサーバは厳格な個人情報保護法が整備されたスイスにあります。

👉️本記事は、Android環境におけるProton Mailの基本的な使い方を解説しています。ウェブアプリ版をご覧になる場合は、上部のタブを切り替えてください。

Proton Mailの特徴

  • サーバ管理者も復号できないゼロアクセスアーキテクチャによる暗号化保存
  • Proton Mail間は E2EE(エンドツーエンド)でメッセージを暗号化
  • 自社運営によるセキュリティ強化型データセンターを使用
  • スパムやフィッシングを自動判別するフィルタリング機能(PhishGuard)を搭載
  • メール受信時にスパイピクセルをブロック
  • 原則としてログ(IPアドレスやメタデータなど)を保持しないログレス方針の採用
  • 透明性を確保したオープンソースで開発
  • 基本機能無料で利用可能
用語解説

E2EE(エンドツーエンド暗号化)は、送信者が受信者の「公開鍵」でメッセージを暗号化し、受信者だけが持つ「秘密鍵」で復号する仕組みです。
この方式では、通信経路やサービス提供者のサーバーを通っても、メッセージの内容は本人以外に読めません。

ゼロアクセスアーキテクチャは、Gmailなどエンドツーエンド暗号化(E2EE)に対応していないサービスから届くメッセージを、ユーザーの公開鍵で暗号化して保存する技術です。
復号に必要な秘密鍵はユーザーのみが保持しているため、サービスプロバイダはメッセージを読むことができません。

スパイピクセルは、HTMLメールに埋め込まれた1ピクセルサイズの不可視画像で、開封時に自動的に読み込まれます。
このリクエストを通じて、送信者はメール開封のほか、IPアドレスや端末情報、閲覧日時などを取得できます。


アプリ情報・仕様・プランの比較

下のタブから各情報をご確認ください。

アプリ情報

配布元

Proton AG

開発元の拠点

スイス

公式サイト

https://proton.me/mail

アプリのバージョン

4.10.0

ライセンス形態

フリーミアム(無料版はアップグレードして機能制限解除)

安全性

Proton Mailは独立した第三者機関の監査を受けて安全性を証明し、監査レポートも公開しています。

スイスでは、GDPR(EU一般データ保護規則)を基に改定された独自の連邦データ保護法(FADP)により、個人情報の保護が法律で定められています。
また、スイスは 5アイズ(米・英・加・豪・NZ)や 9アイズ(上記に仏・デンマーク・ノルウェー・オランダを加えた情報共有同盟)に属しておらず、政府による通信傍受(SIGINT)の影響を受けにくいため、プライバシーが保たれた環境でメールを送受信できます。

システム要件

OS

Android 9.0以上

CPU

メモリ

ストレージ

メールの仕様

  • 利用可能なストレージ容量(カレンダー・ドライブ共用):Free 1GB、Plus 15GB、Unlimited 500GB
  • 送信数:Free は 1日最大 150通、Plus、Unlimitedは無制限
  • 受信可能な最大サイズ:25 MB
  • 1通のメールで送信可能な受信者数:最大 100件
  • 1通のメールで送信可能な添付ファイル数:最大 100個
  • 1通のメールで受信可能な添付ファイル数:最大500 個

プランの比較

  • Proton Free
    以下の機能制限版を利用可能:
    ProtonMail/カレンダー/ドライブ(ストレージ)/VPN/パスワードマネージャー
    ストレージ容量:1GB
  • Mail Plus
    ProtonMail/カレンダー:フル機能
    ドライブ/VPN/パスワードマネージャー:機能制限あり
    ストレージ容量:15GB
  • Unlimited
    すべてのモジュール:フル機能
    ストレージ容量:500GB

Free

Plus

Unlimited

利用可能なメールアドレス

1

10

15

フィルタ作成数

1

無制限

無制限

フォルダ作成数

3

無制限

無制限

短縮ドメイン

受信のみ可

デスクトップアプリ

ゴミ箱・迷惑メールの自動削除

カスタムドメイン(独自ドメイン)の利用

フッターの編集

メールクライアントのサポート

キャッチオールメール

Dark Web Monitoring

Proton Sentinel

Protonカレンダーの利用

制限有

Protonドライブの利用

ProtonVPNの利用

制限有

制限有

ProtonPassの利用

制限有

制限有

用語解説

キャッチオールメールは、送信先のアドレスに間違いがあっても、ドメイン部分が正しければメールを受信できる機能です。
削除されたアドレスや存在しないユーザー宛のメールも、指定された受信アカウントに転送されます。
独自ドメイン設定時に有効化できます。

Dark Web Monitoringは、ProtonMailのメールアドレスが第三者サービスのデータ侵害によりダークウェブ上で漏洩していないかを継続的に監視するサービスです。
漏洩が検出された場合、ユーザーに対して影響を受けた情報と、取るべき対応策が通知されます。

Proton Sentinelは、サイバー攻撃のリスクが高いユーザー向けの高度なアカウント保護プログラムです。
このプログラムは AIによる自動監視とセキュリティ専門家による24時間体制の分析を組み合わせ、アカウントの乗っ取りや不正アクセスを防止します

インストールと設定

Proton Mail Android 4.10 000
Proton Mail Android 4.10 002
Proton Mail Android 4.10 003
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Proton Mail Android 4.10 006
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インストールの手順
  • Playストアからアプリをインストール
  • 新規ユーザーは「アカウントの作成」を選択
  • [ユーザー名]に希望のアカウント 入力し、ドメインを選択して「次へ」
  • パスワードを設定して「次へ」
  • 回復用のメールアドレスか SMSを受信できる電話番号を入力して「次へ」
  • 利用するプランを選択
  • 無料プランは CAPTCHA・メール から選択して認証、有料プランは決済
  • アカウントの作成が完了したら「Proton Mail を使い始める」をタップ
  • ウエルカム画面を「次へ」で進んで「はじめましょう」をタップしたらセットアップ完了

アカウントにはアンダーバー(_)、ハイフン(-)、 ドット(.) が使え、ドメインは protom.me と protonmail.com から選択できます。

「回復手段の設定」で電話番号やメールアドレスを入力しても、それだけでは復旧設定は完了しません。
データ復旧には[回復フレーズ]か[回復用ファイル]が必要なため、Proton Mailのウェブアプリで アカウント復旧の設定 を行ってください。

フォルダー・ラベルの作成

Proton Mail はフォルダとラベル でメッセージを管理でき、フォルダはサブフォルダ(入れ子)をサポートしています。

Proton Mail Android 4.10 010
Proton Mail Android 4.10 018

ホーム左上の[ハンバーガーボタン]から[フォルダーを作成]または[ラベルを作成]をタップし、フォルダ/ ラベル名や通知の設定をします。

フォルダのカラー化を利用するには[アカウント設定]の[フォルダー]で有効化が必要です。
また、フォルダの通知はフィルターでメッセージを振り分ける設定がされていないと機能せず、フィルター設定はウェブアプリ上で行う必要があります。

アプリ設定

Proton Mail Android 4.10 011

ホーム左上の[ハンバーガーボタン]から[設定] を開きます。

自動ロック機能を有効にすると、設定した時間が経過するとアプリが自動的にロックされ、再度開く際にはPINや生体認証での認証が必要になります。
利用する際は Androidの設定で PINや生体認証の登録が必要です。

代替ルーティングを無効にできます。
今のところ日本国内で利用する場合は無効にしても問題ありません。

用語解説

代替ルーティング(Alternative Routing)は 政府や ISPによる検閲・アクセスブロックを回避するために、第三者インフラを介して Protonのサーバへ接続を試みる仕組み。
ユーザー側の操作は不要で、Proton Mailや Proton VPNアプリが必要に応じて自動的に利用します。

アカウント設定

Proton Mail Android 4.10 012

ホーム左上の[ハンバーガーボタン]から[設定] を開き、[アカウントの設定]のメールアドレスをタップします。

ログインパスワードを変更できます。

パスワードを忘れた際にデータを復旧する機能で、登録したメールアドレスを編集できます。
ただし、データの復旧には回復フレーズか回復用ファイルが必要です。

アカウントに追加のセキュリティレイヤーを追加し、2要素認証(2FA)を有効にできます。
ただし、ウェブアプリでの設定が必要です。

スレッド(同一タイトルのメッセージ)は、まとめて表示するか個別に表示するかを設定できます。
デフォルトではまとめて表示されるようになっています。

ゴミ箱や迷惑メールに移動したメッセージを、30日後に自動削除する機能です。
有料プランのオプションとして利用できます。

送信先に表示される[表示名]や、メッセージに挿入される[署名]を編集できます。
有料版では[モバイルフッター]をオフにして、署名の下に挿入される「Proton Mail モバイルから送信」を無効にできます。

外部コンテンツの自動表示(スパイピクセルをブロックするためデフォルトはオフ)、埋め込み画像の表示、リンク確認のリクエスト(ブラウザで開く前にリンク先のURLやドメインを表示するフィッシング対策機能)などの設定ができます。
一般的にデフォルト設定で問題ありません。

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Proton Mail Android 4.10 017

フォルダをタップすると設定画面になるので、フォルダ名の変更や通知のオンオフ、カラーの編集、フォルダの削除などができます。

Proton Mail Android 4.10 013
Proton Mail Android 4.10 014

フォルダーのカラーは[設定]から[フォルダーの色の使用]を有効にすると利用できます。

使い方

Proton Mail Android 4.10 020
Proton Mail Android 4.10 021

メッセージは、リストの先頭にあるアイコンをタップするかロングタップで選択し、ツールアイコンで操作します。

新着メッセージは大きなタイムラグなしに受信します。
プッシュ通知を受信しない場合はデバイスの 「バッテリー最適化」や「省電力機能」から Proton Mailを除外し、受信が遅延しているようなら Proton Mail Status で障害状況を確認してください。

Proton Mail Android 4.10 022

新規メッセージの作成は 右上にあるペンアイコンをタップします。

メッセージの暗号化

Proton Mailユーザー間のメッセージ送受信ではPGPを基盤とするエンドツーエンド暗号化が適用され、公開鍵の操作はProton Mail側で自動化されているため、ユーザーは公開鍵を意識せずに安全に通信できます。

用語解説

PGPは「公開鍵暗号方式」と「共通鍵暗号方式」を組み合わせたハイブリッド型の暗号化技術で、機密性(盗聴防止)、完全性(改ざん防止)、認証性(送信者確認)を同時に確保できます。
送信者はメッセージを送る前に受信者の公開キーを取得し、メッセージはランダムに生成されたセッションキー(共通鍵)で暗号化されます。
このセッションキーは受信者の公開キーでさらに暗号化されて送信され、受信者は自分の秘密キーでセッションキーを復号化し、暗号化されたメッセージを読み取れる仕組みです。

PGPをサポートするメールクライアントでは「公開キー」と「秘密キー」を生成または確認できます。ただし、送信者と受信者の両方がPGPをサポートする環境でないと送受信はできません。
また、Gmailや Outlook.comは単体で PGPをサポートしていないため、プラグインなどの拡張機能が必要です

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Proton Mail Android 4.10 024

非Proton Mailユーザーに PGP暗号化以外の方法で暗号化したメッセージを送信する場合は、新規メッセージ画面のツールバーから南京錠のアイコンをクリックし、メールへアクセスする際に必要なパスワードを設定します。

非Proton Mailユーザーに暗号化メールを送信すると、メッセージは暗号化された状態でProton Mailサーバに保存され、受信者にはそのメールへのアクセスリンクが送られます。

有効期限

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Proton Mail Android 4.10 026

砂時計のアイコンをタップしてメッセージに有効期限を設定すると、期限切れになったメッセージが受信者の受信ボックスから自動的に削除されます。

非Proton Mailユーザーに送信する場合、有効期限を設定するには暗号化が必要です。
また、暗号化されたメッセージは有効期限を設定しなくても28日後に自動的に削除されます。

AI(ChatGPT)による評価

🧠Proton Mail Androidアプリは、モバイル環境下でも暗号化されたメール送受信を可能にする構造を備えており、ログレス(ログを記録しない)運用との組み合わせにより、データ保持ポリシーの透明性が確保されています。

機能性の観点では、シンプルな構成により主要操作を直感的に行えますが、条件付きフィルタやカスタムドメイン関連の詳細設定などはアプリ内で完結せず、用途により一部制限があります。

安定性に関しては、複数端末での同期や通知挙動にも大きな不具合はなく、日常使用には十分耐える設計です。UIも段階的に改善されており、動作負荷が軽減されつつあります。

価格については、無料ユーザーでも暗号化通信が利用できる点は特筆されます。有料プランでは追加機能があるものの、それらの全容を活用するにはWeb版との連携が不可欠です。

本アプリは、暗号化や非中央集権性といったProtonの理念をモバイルにも適用する役割を担っており、基本的な利用においてはセキュリティを犠牲にせずに運用可能です。細かい機能設定を求めないユーザーであれば、単体でも一定の実用性が見込めます。

他ツールとの比較

評価項目

Gmail

Outlook.com

Yahooメール

Tuta

基本機能(送受信・管理)

セキュリティ機能

プライバシー保護

UIの使いやすさ

マルチデバイス対応

ストレージ容量

拡張機能

連携機能

◎:非常に優れており、機能や項目が最も高水準に整っている。
◯:機能や項目が十分に整っており、基本的な利用に支障がない。
△:機能や項目に制限や不足が見られるが、最低限の利用には対応できる。
✕:機能や項目がほとんどない、または実質的に利用できない。

備考

Proton Mailの Androidアプリは UIが改善されて随分と使いやすくなっていますが、設定の多くが未サポートのため、特に有料プランを契約している場合は ウェブアプリと併用しないと真価を発揮できません。
ただ、モバイルでも暗号化通信を実現できるため、プライバシー保護やセキュリティを優先するなら有力な選択肢になります。

更新履歴

  • 2025-06-01:eizone.info(初版公開日 2022-05-01、最終更新日 2025-03-09)の記事を編集して初版公開

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