ファイル同期 / データ共有

Synology NAS版 Resillo Syncのインストールと使い方

※この記事は https://eizone.info/ より移行したものを再編集したものです。

Resilio Sync は、P2P通信によって複数端末間でファイルを直接同期できる、個人利用は無料の同期ツールです。

👉️本記事は、Synology NAS環境における Resilio Syncの基本的な使い方を解説しています。Windows版や Android版をご覧になる場合は、上部のタブを切り替えてください。

Resilio Syncの概要

Resilio Syncの用途と活用シーンです。使用目的や導入を検討する際の参考にしてください。

クラウドを介さずにSynology NASと他のデバイス間でファイルをリアルタイムに同期したい場合。

NAS上の共有フォルダを外出先のPCやスマートフォンと連携したいとき、LAN内で大容量ファイルを高速にやり取りしたいときなど。

機能と特長

  • NAS内フォルダとの双方向同期を構成可能
  • BitTorrentの技術を使用し、P2Pでデバイス間を直接接続
  • AES-128で暗号化された通信を使用してセキュアにデータを転送
  • クラウドストレージを使用しないため、クラウドサービスの容量制限を気にせずファイルを同期
用語解説

P2Pは、すべての端末が対等な関係で接続され、中央サーバーを介さずに直接データをやり取りする通信方式です。
一般的なクラウドサービスのように一度サーバーに保存してから別の端末に転送するのではなく、送信元と受信先の端末間でファイルが即時に共有されるため、特定のサービスに依存せず、自分の端末のみで同期環境を構築できます。

BitTorrentは、大きなファイルを複数の小さな断片(チャンク)に分割し、インターネット上の複数の端末(ピア)から同時に受信することで効率的にデータを転送する分散型のファイル共有プロトコルです。
各ピアは受け取った断片を他のピアに再配布できるため、全体として一つの中央サーバーに負荷を集中させることなく、大規模なデータの送受信が可能になります。


アプリ情報・システム要件

下のタブから各情報をご確認ください。

アプリ情報

開発者

Resilio Inc

開発者の拠点

米国

公式サイト

https://www.resilio.com

アプリ詳細ページ

https://www.resilio.com/sync

アプリのバージョン

2.8.1

提供形態

フリーウェア

ライセンス形態

プロプライエタリ(商用ライセンス)で無償提供

システム要件

OS

DSM 6.x/ 7.x

CPU

ARM/ Intel

メモリ

ストレージ

ホームゲートウェイの設定

外部ネットワークにある他のデバイスと Synology NAS上の Resilio Syncでファイルを送受信するには、ホームゲートウェイ(ルーター)でポートフォワーディングの設定を行う必要があります。

ResilioSync NASv2 001

ルーターにアクセスして、[28888]ポートを開放します。

  • LAN側IP(LAN側ホスト):Synology NASのローカルIPアドレス
  • プロトコル:TCP
  • 外部ポート(開始 / 終了):28888
  • 内部ポート(開始 / 終了):28888

インストールと設定

DSM v7.1.1では、パッケージセンターに Resilio Syncが表示されないため、公式サイトから SPKファイルをダウンロードし、「手動インストール」からパッケージを追加する必要があります。

DSMでResilio Syncを「開く」と、別ウインドウで[ウェブUI]が表示されます。
初回起動時には、ウェブUIにアクセスするための専用ログイン情報(ユーザー名およびパスワード)を新規に登録する必要があります。
ウェブUIのログイン情報は、DSMの管理アカウントや Resilio Syncの機能設定とは関係ありません。

スライドを進めるには、画面右端の矢印をクリックしてください。

ResilioSyncNAS28021
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ResilioSyncNAS28033
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  • SPKダウンロードページ で[Resilio Sync v2]を選択。
  • DSMのバージョンを確認し、使用モデルのパッケージアーキテクチャをクリックして、ファイルをダウンロード
  • NASの DSMで[パッケージセンター]を開き、「手動インストール」から SPKファイルをアップロード
  • 警告ダイアログが表示されるので「同意する」を選択
  • 「完了」でインストールを実行
  • インストールが完了するとパッケージセンターに Resilio Syncが追加されるので、「開く」をクリック
  • プライバシーエラー が表示されるので「詳細設定」をクリック
  • 「(ドメイン名)にアクセスする(安全ではありません)」のリンクをクリック
  • ウェブUI用のログイン情報を登録して「Continue」
  • [Sync Home] をクリック
  • デフォルトで[rslsync]になっているデバイス名を編集し、個人情報保護方針・利用規約・使用許諾書・ビジネスで使用しないことへの合意に問題なければ、チェックして「Get started」
  • ログインを求められるので、ウェブUI用のログイン情報を入力してログイン
  • 同期設定時に表示するデバイス名を入力して「Create identity」
  • ニュースレターの申込み画面が開くので、不要であれば「✕」で閉じ、セットアップ完了

Resilio Sync の ウェブ UIはデフォルトで httpプロトコルで接続し、 自己署名証明書を使用しているため、開く際には毎回ブラウザでプライバシーエラー が表示されます。
エラー表示を回避するには Resilio Syncの構成ファイルを編集するか、証明書の例外を追加する必要があります。

日本語化

Resilio Syncはローカライズされているので、[設定]で日本語化できます。

ResilioSync NAS 2.8 034

メニューの「設定」 を開き、[Language] のリストから[日本語]を選択します。
ウェブUIを閉じて、DSMのメインメニューから Resilio Syncを開いてログインすると日本語表示に切り替わります。

ウェブUIの初期登録画面が表示されない場合の対処

初期登録画面が表示されない原因には複数の要素があり、複合要因により初期設定画面が表示されない可能性もあります。

  • Resilio Syncを開くとブラウザに「接続がリセットされました」と表示される場合
    NASに接続できていない時のエラーです。
    👉️ DSMにアクセスできている場合は、28888ポートを開放しているか確認してください。
    👉️ 過去に Resilio Syncを使用しているケースでは、DNSキャシュが影響している可能性があるため、アクセスしている URLを http://(DDNS):2888/ ではなく、http://(NASのIPアドレス):2888/でアクセスします。
  • WebUIの初期登録画面ではなくログイン画面が表示される場合(1)
    Resilio Syncの初回起動時に初期登録ではなくログイン画面が表示される原因の1つとして、同一ネットワーク内で、別のNASにResilio Syncがすでにセットアップされているケースがあります。
    👉️ セットアップ済みの Resilio Syncを[パッケージセンター]で「停止」に変更してください。 
  • WebUIの初期登録画面ではなくログイン画面が表示される場合(2)
    ログイン画面が表示される原因として、過去に利用していた構成ファイルが NAS内に残存しており、新規インストール時に再利用されている可能性があります。
    👉️ 登録済みのログイン情報が不明な場合は、Resilio Syncの設定ファイル(settings.dat/ settings.dat.old/ )を削除し、Web UIの強制初期化を実施します。
    ※削除手順は「WebUIのログイン情報を忘れた場合」の項目を参照してください。
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WebUIのログイン情報を忘れた場合

WebUIのログイン情報は、NASのストレージフォルダに保存されており、ログイン情報を失念した場合は、該当ファイルの削除が必要 になります。
ストレージフォルダは DSMからアクセスできないため、Tera Termなど SSHをサポートしているアプリを使用し、コマンド入力で削除します。

Resilio Sync NAS 2.8 002.1

Tera Termで NASに接続し、下記のコマンドを入力して管理者権限に切り替えます。

sudo -i
Resilio Sync NAS 2.8 003

[Password:]の後に Synology NASに登録しているログインパスワードを入力します。
ログインに成功すれば[root@ホスト名:~#]のプロンプトに切り替わります。

ResilioSync NAS 2.8 017

下記のリストコマンドを入力してディレクトリ内を一覧表示します。

ls /volume1/@appdata/resiliosync/app/
ResilioSync NAS 2.8 018

[settings.dat]と[settings.dat.old]ファイルがあることを確認します。

ResilioSync NAS 2.8 019

下記のコマンドを1行ずつ入力して、該当のファイルを削除します。

rm -f /var/packages/resiliosync/var/app/settings.dat
rm -f /var/packages/resiliosync/var/app/settings.dat.old
ResilioSync NAS 2.8 014

再度下記のコマンドを入力してファイルが削除されていることを確認してから Tera Termを閉じ、DSMを再起動します。

ls /volume1/@appdata/resiliosync/app/
ResilioSync NAS 2.8 020

Resilio Syncを起動すると初期登録画面が開くはずです。

使い方

無料で利用できる Resilio Sync v2 Homeは、[マイデバイス]が利用できないので、共有フォルダは個々にキーやリンクを発行して、同期するデバイスの Resilio Syncに追加する必要があります。

ResilioSync NAS 2.8 036

同期の設定は、ツールバーの[フォルダ]を開き、「+」のメニューから[標準フォルダ]を選択します。

ResilioSync NAS 2.8 037

同期するフォルダを指定して「開く」をクリックします。

ResilioSync NAS 2.8 038

同期するフォルダを指定すると設定画面が開くので、[リンク][キー][QR コード]から使用する共有方法とアクセス権限を設定します。
[セキュリティ]の項目を任意で編集し、「コピー」 を選択して、取得したリンクをメールなどで共有相手に送信します。

  • リンク
    認証キーを含んだ URLで、共有開始時にオーナーの承認要求・リンクの有効期限・使用回数の制限などのセキュリティ設定が可能です。他の Resilio Syncユーザーとの共有に適しています。
  • キー
    共有するフォルダにアクセスするための認証キーを発行します。セキュリティ設定がなく、自分のデバイス間で同期する際の使用に適しています。
  • QRコード
    認証キーをQRコードで表示し、Resilio Syncモバイルアプリの QRコードスキャンを使用して読み取りができます。

[セキュリティ]で新規ピアの承認を有効にすると、招待したピアにリンクが登録された際に NASの Resilio Syncに通知が表示され、[通知]アイコンをクリックしてアクセスの可否を選択します。
ただし、DSMで Resilio Syncを開いていないと確認できないため、設定する場合は注意が必要です。

📝 アクセス権限の違い

  • 読み取り専用
    共有先で行った変更が反映されない一方向同期。
  • 読み取り/ 書き込み
    共有先の編集内容が反映される双方向同期。

キーまたはリンクの入力

[キーまたはリンクを入力する]は、他のデバイスで発行されたリンクやキーを入力し、NASの Resilio Syncに同期フォルダを追加するメニューです。

ResilioSync NAS 2.8 039

ツールバーの[フォルダ]を開き、「+」のメニューから[キーまたはリンクを入力する]を選択します。
[手動接続]の画面が開くので、取得したキーやリンクを入力して「次へ」で進み、同期するフォルダ(保存先)を指定します。

ファイルを共有

[ファイルを共有]はサイズの大きなファイルを送信する際などに便利な機能で、指定したファイルの共有リンクを生成します。ただし、ファイルは P2Pで転送されるため、ファイルを受け取る側も Resilio Syncが必要です。

ResilioSync NAS 2.8 041

[ファイルを共有]を選択してファイルを指定すると、設定画面が開くので、[リンク][QR コード]から使用する共有方法を選択し、[コピー]を選択して、取得したリンクをメールなどに貼り付けて共有相手に送信します。

ResilioSync NAS 2.8 042


共有したファイルはツールバーの 共有ファイル で確認できます。

暗号化フォルダ

暗号化フォルダは特殊な共有設定で、共有するフォルダを暗号化します。ただし、暗号化したフォルダを共有したデバイスでは、ファイルを復号化することはできません。
フォルダは「読み取り/ 書き込み」または「読み取り専用」の時に復号化できるため、暗号化したフォルダにアクセスするには、信頼できるデバイスに「読み取り/ 書き込み」や「読み取り専用」で共有する必要があります。

ResilioSync NAS 2.8 043

[暗号化フォルダ]を選択してフォルダを指定すると、「読み取り/ 書き込み」「読み取り専用」「暗号化キー」が表示されます。
信頼できないデバイスには[暗号化キー]で同期し、信頼できるデバイスでは「読み取り/ 書き込み」「読み取り専用」で同期します。

AI(ChatGPT)による評価

🧠Resilio Sync NAS版(v2.8)は、クラウドを介さずにNAS間のファイル同期を実現できるP2P型の同期アプリケーションです。インターネットやローカルネットワークを通じて直接通信する構造により、高速かつ安定した同期が可能で、外部ストレージを経由しないプライバシー重視の運用に適しています。
NASにインストールすることで常時稼働が可能となり、PCを起動せずに同期を維持できる点は大きな利点です。認証キーや手動承認などのアクセス制御も備えており、複数台のNASで構成する自前の同期ネットワークを柔軟に構築できます。

一方で、デスクトップ版にある選択型同期機能は搭載されておらず、常にフル同期となる点や、WebUIの初期設定やアクセスに関する仕様がやや複雑である点は注意が必要です。特に初回セットアップではポート設定やログイン管理に関する基礎知識が求められ、初心者にとっては操作手順の理解に時間を要する場面もあります。

総じて、Resilio Sync NAS版(v2.8)は、自律的でセキュアな同期環境を構築したい中〜上級ユーザーに適しており、商用クラウドを使用せずにNAS間でデータを安全かつ効率的に同期したい場合に、有力な選択肢となります。

他ツールとの比較

項目

Synology Drive

GoodSync

機能性

操作性

安定性

価格

◎:非常に良い ◯:おおむね良い △:やや劣る ✕:対応していない

備考

Resilio Inc は 2016年 6月にBitTorrent Inc の独立企業として設立され、BitTorrent Incが開発していた BitTorrent Sync を Resilio Sync として製品開発を継承しています。

ARMアーキテクチャはバージョン3.0が未サポートのため、マイドライブは利用できませんが、同期フォルダを設定すれば、後の操作は基本的に不要なので、従来の機能でも特に困ることはありません。

更新履歴

  • 2025-07-18:eizone.info(初版公開日 2020-11-29、最終更新日 2024-08-25)の記事を編集して初版公開

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